Microsoftは2021年のバーチャルイベントで、Windows 10の非エンタープライズ向けサポートを2025年10月14日に終了することを発表しました。
また、Windows 11のEOL(ライフサイクル終了)はだいぶ先になりますが、まだアップグレードしていないユーザは、Windows 11のシステム要件を確認した上で慎重に検討することをお勧めします。かなり厳しくなった要件を満たすために、ハードウェアの高価なアップデートや、あるいはコンピュータを新調する必要があるかもしれません。
このことに加えて、職場や学校、自宅でのAppleコンピュータの採用が高まっていることも念頭に置き、どんな選択肢があるのかを現在使用しているデバイスのサポートが終了する前に知っておくことが大切です。もちろん、プライベートおよび仕事で必要なワークフローをAppleに移行する必要があることも忘れてはなりません。
消費者やユーザの間でMacの人気が高まるにつれ、企業はそのことに注目するだけでなく、従業員にAppleデバイスを提供することで得られる可能性のあるメリットやコスト削減について調査せざるを得ない状況になっています。ITのコンシューマライゼーションに伴い、テクノロジーに精通した若い労働者が自宅で使っているハードウェア、つまりAppleを職場でも使うことを求める傾向は広がり続けています。
IBM社のCIOであるFletcher Previn氏は、「家は進んだ環境なのに職場は遅れたまま。そんな状況が良いとは思えない」とコメントしています。
Jamfも同じ意見です。
職場にMacを導入しようと考えたとき、どうしてもコストの問題が出てきます。
「Macは確かに素晴らしいが、同じ価格でPCを2台購入できる」というのが、ITチームの典型的な考えです。しかし、初期費用のみにフォーカスせずに、以下の点を含む総所有コスト(TCP)を比較すると......
- 基本的なサービス
- アプリケーションライセンス
- デバイス管理
- エンドポイントセキュリティ
- サポートリクエスト
- ハードウェアの修理
意外にもMacの方に軍配が上がったのです。このブログでは、実際の数字を検証し、「エンタープライズで使うのに最適なのはMacかPCか」の問いに答えていきます。
従業員の満足度と生産性
Previn氏は、3度目の登壇となった2019年のJNUCにおいて、Macが従業員に生産性と成功をもたらすと同時に、仕事に対する満足度と従業員の定着率の目覚ましい改善に貢献することを示す調査結果を発表しました。
世界初となるこの調査によると、従業員がデバイスを選択できる制度を採用した場合、業績評価で期待値を超える成果を出したmacOSユーザはWindowsユーザよりも22%多く、NPS(職場の推奨度)に関してはWindowsユーザの15ポイントに対し、Macユーザは47.5ポイントをつけました。高いNPSポイントに加え、IBMでMacを利用するユーザはそうでないユーザに比べて離職傾向が17%低いという結果も出ており、生産性と従業員満足度に大きな影響があることがわかりました。
「72%の従業員がPCではなくMacを選んでいる」(JamfのeBook「Global Study: 従業員選択制と、その未来の働き方へのインパクト」より)
ただし、デバイス自体のパフォーマンスが良くても、従業員が高いレベルでパフォーマンスを発揮するには、必要なすべてのツールとソフトウェアがデバイスに搭載されている必要があります。MacユーザはIBM社内で利用できるサードパーティのソフトウェアに満足しており、追加のソフトウェアを希望したのはたったの5%だけでした(PCユーザの場合は11%)。さらに、Windowsユーザと比較して、macOSユーザは高額なセールス案件が16%多いというデータも出ています。
これらの特筆すべき点に加え、IBMでは20万台のWindowsデバイスをサポートするのに20人のエンジニアが必要であるのに対して、同じ台数のmacOSデバイスをサポートするエンジニアはたったの7人であるとPrevin氏は述べました。Macに比べて、Windowsデバイスのエンジニアサポート体制には186%ものリソースが必要ということがわかります。
これらのデータは、Appleデバイスのメリットとして強調されている点ではないかもしれませんが、Appleデバイスが高い生産性や従業員満足度を実現しながら、離職率や必要なサポートを軽減することがわかります。その上、会社により多くの利益をもたらし、コストまで削減できるのです。
IBMの調査結果に加えて、JamfのHaddayr Copely-Woodsも「専門職に就く多くの人は他のノートパソコンよりもMacBookを好んでいる」と述べています。また、従業員選択プログラムの参加者へのアンケートから、以前仕事でPCを使用していた人の74% が、PCよりもMacの方が技術的な問題が少なかったと回答しています。
Macの人気を裏付けるデータ
エンタープライズにMacを導入する際に決め手となる要素を解き明かすため、グローバルな市場調査を行うVanson Bourne社は、Macを選択できる企業で働くMacユーザを対象にアンケートを行い、仕事にMacを選んだ理由について探りました。ここではその概要をご紹介します。
- 97%が「Macによって生産性が向上する」と回答
- 95%が「Macは創造性を引き出してくれる」と回答
- 94%が「Macは満足感の向上につながる」と回答
- 79%が「Macがなくては効果的に業務を行うことができない」と回答
- 70%が「直近12ヶ月間にMacを使っていて起きた問題は、2つかそれ以下(よってヘルプデスクへの問い合わせが減った)」と回答
デバイスを使う人の満足度と生産性が高いと、組織全体がその恩恵を受けます。
ここまでを踏まえて、一番初めの問題に戻ります。Appleデバイスの初期費用は高いのに、なぜ総所有コストは少ないのでしょうか?
MacとPCの基本サービスにかかるコスト
企業のネットワークにあるすべてのコンピュータは一連の基本的なサービスを必要とします。特に、電力とインターネットは欠かせません。これに関してはMacでもPCでもかかるコストはほぼ同じです。多くの組織ではかつて、コンピュータをディレクトリサービス(もっとも有名なのはMicrosoftのActive Directory)に紐付けなければなりませんでした。しかし、現代のコンピュータを取り巻く環境は違っています。リモートまたはハイブリッドワークへの移行に伴い、管理のしやすさや認証情報のプロビジョニングを一元的に行うことのセキュリティ面でのメリットを理由に、多くの組織がクラウドベースのアイデンティティプロバイダ(IdP)に移行しています。Jamf Connectのようなソリューションは、面倒なディレクトリサービスへの紐付けを排除し、アクセス許可管理のすべてのメリットを組織に提供します。
IdPや旧式のディレクトリサービスのライセンス料や電力以外にも、ユーザが業務上必要とする他のサービスのライセンス料も発生します。これには、メールアカウントやクラウドストレージ、チャットツール、経費精算ツール、コラボレーションツールなどへのアクセスが含まれます。これらのサービスの多くはクラウドに移行しており、最新のウェブブラウザさえあれば利用できます。クラウドベースであるため、MacでもPCでも同様に機能し、ベンダーはプラットフォームに関係なく同じ料金を請求します。
次に、ユーザが必要とするソフトウェアがあります。Macには、ウェブブラウザのSafari、メール、カレンダー、連絡先(これらすべてがExchangeに対応)、そしてKeynote、Pages、Numbersなどの生産性を高めるアプリケーションなど、ユーザが必要とするほとんどのソフトウェアが最初から搭載されています。しかし、必ずしもすべての人が Appleのアプリに慣れている訳ではないため、多くの組織がmacOSで稼働するMicrosoft Officeを配布しています。数年前のOffice 365のリリース以来、MicrosoftはすべてのプラットフォームにおいてOfficeの料金を標準化しています。
最後に、全ユーザに共通で必要となるアプリケーションの他に、組織はソフトウェアを導入する際の配布ポイントについても考えなくてはなりません。これについては、クラウドストレージ、あるいは標準的なファイル共有を提供しているローカルサーバなどが考えられます。いずれにせよMacでもPCもかかるコストはあまり変わらない可能性がありますが、使用しているMDMソリューションによっては、クラウドベースの配布ポイントからのパッケージのホスティングと配布に対応している場合とそうでない場合があるため、注意が必要です。Jamf Pro のようなサービスでは、これらすべてが含まれているため、デバイスごとの使用料を超える追加費用はかかりません。
MacのハードウェアはPCより優れているのか?
MacはPCより価格が高い場合があります。AppleのMacBookは999ドルから購入でき、必要なスペックに応じて段階的に価格がアップしていきます。Macに対するAppleの戦略は今も昔も、長いあいだ使い続けられる高スペックのコンピュータを作り上げることです。それに対してPCの場合は、予算に限りのある買い手のために低スペックのモデルも提供されるため、値段にかなりの幅があります。中にはMacの半額で購入できるものもあります。
ここで考えるのをやめて、「やはりうちの組織ではMacを買う余裕はなさそうだ」と決めつけてしまうことは簡単ですが、セキュリティやデバイス導入に求められる重要なソフトウェアについて深掘りした調査によると、Macのコストは高いという認識はただの印象でしかないことがわかります。
価格を見ることはもちろん大切ですが、どのハードウェアを選ぶのかについてもっと深く考え、その価格で得られるテクノロジーのレベルについてよく知っておくことも重要です。さらに、ハードウェアがシステム全体の中でどのように機能するかによって、以下の点が影響を受けることを覚えておきましょう。
- デバイス性能
- ユーザエクスペリエンス
- リソース効率
- エンドポイントセキュリティ
- 機能性
例えば、ほとんどのPCはIntelベースのプロセッサを搭載しており、タスクの処理に加えて、独自の方法でメモリやグラフィックなどのリソースやネットワーク通信タスクなどが処理されます。これらは業務に関連したタスクを処理するために並行して働きますが、PCの場合は各サブシステムが異なるベンダーによって開発されており、それらの統合レベルには限界があります。一方Appleの場合、M1とM2が搭載されているすべてのデスクトップコンピュータとモバイルデバイスのコンポーネントはAppleによって作られています。これは、コンポーネント間で他には見られない深いレベルでの統合が実現されていることを意味しており、その結果、MacはPCよりも軽く、速く、より高性能になっています。
それだけでなく、エンタープライズにおいてM1/M2チップ搭載Macがリソースとパフォーマンスに与える影響については、Forrester Consultingが行った調査「Total Economic Impact Study」においても取り上げられています。その結果わかったのは、Macの投資収益率(ROI)に間違いはなかったということです。
この調査結果の中から注目すべき点として以下の点が挙げられます。
- Macの平均的なライフサイクル(3年間)を通して組織にもたらされたコスト削減は843ドル
- MacがITチームの仕事効率に及ぼした直接的な影響により削減されたITサポート費用は3年間で1,240万ドル
- M1 Macを導入したエンタープライズにおけるデバイス毎のデータ漏洩リスクが50%低下
- Macを使わない従業員に比べ、Macを使う従業員の定着率は20%、生産性は5%高い
Mac vs PC:ビジネスアプリのサポート
すべてのMacにはすでにmacOSが搭載されています。Appleはひとつのデスクトップ用OSしか作らないため、機能の差異が出ることがなく、すべての人が一貫したユーザエクスペリエンスを得ることができます。macOSではデバイスを立ち上げた瞬間から、ローカルネットワークまたはクラウド上の共有リソースにアクセスできる機能や、FileVaultによるフルボリューム暗号化、マルウェア対策(XProtectやマルウェア駆除ツール)などが利用でき、セキュリティや生産性をサポートする機能も標準搭載されています。
一方、Windows10(およびそれ以前のバージョン)の場合、サードパーティー製ソフトウェアを通してこれらの機能を追加するか、「Pro」バージョンを購入するか、あるいはその両方が求められます(Windows11 Proは$199で販売されています)。PCを組織のドメインに追加し、BitLockerによるフルディスク暗号化を行うにはProバージョンが必要となります。さらに、多くの組織では、Windowsが搭載されたPCを執拗に狙い続けるマルウェアやウィルスに対抗するためにエンドポイントセキュリティソリューションを追加で購入しています。
最後に、新しく入社した社員にデバイスを配布する手段が必要になります。Appleの場合、暗号化やマルウェア対策だけでなく、Apple Business ManagerというソリューションがmacOSに内蔵されており、無料で利用することができます。このソリューションを用いることで、組織はMacやiOSデバイスを組織所有のデバイスとして登録し、導入することができます。初めてデバイスの電源が入ったタイミングでシリアルナンバーが照合され、組織で使用しているデバイス管理ソリューションに登録されます。次に、MDMによってデバイスの構成が導入され、アプリケーションのインストールやセキュリティ設定の適用が行われます。最新の状態を保つために頻繁なアップデートが必要で、導入の規模に関わらずネットワーク帯域に悪影響を与えていた従来の方法に比べ、時間とコストの大幅な削減が可能になります。
モバイルデバイス管理ソリューションの機能性
エンタープライズで使用されるMacやPCには、何らかの管理システムが必要不可欠です。適切なデバイス管理システムがあれば、ITチームはデバイスの導入はもちろん、リモートで設定を変更したり、ソフトウェアの配布や更新を行ったりできる上に、膨大なインベントリデータの収集やセキュリティ管理もできます。MicrosoftはWindowsのエンドポイント管理ツールとして、Microsoft Intuneを提供しています。クラウドベースのWindows用エンタープライズ管理ツールとしてもっとも愛用されており、MDM機能を追加できるほか、グループポリシー分析と併用することで、モバイルエンドポイントやオンプレミスのものを含め、すべてのWindowsデバイスを包括的に管理することができます。
この点においてもAppleは違います。Appleはオペレーティングシステムに管理フレームワークが内蔵されており、これがMDMで管理できることとできないことが指定された指示書のような役割を果たしています。エンタープライズにおけるApple製品の管理とセキュリティのスタンダードであるJamfは、このフレームワークを完全にサポート・活用しており、更にリモートでMacを管理するための追加のソフトウェアも用意されています。また、Jamfは最新macOSがリリースされたその日から互換性を約束しています。これには、Appleの緊急セキュリティ対応の一部としてリリースされたセキュリティだけにフォーカスしたアップデートも含まれるため、最新の脅威から組織のAppleフリートを保護することが可能です。このようなAppleの導入プログラムとセキュリティツールを活用して、組織はすべてのMac管理機能の恩恵を余すことなく享受することができます。
さらに、Jamfの「Self Service」を利用することで組織独自のアプリカタログを作成することもでき、IT部門が許可したアプリや設定をユーザ自身でMacにインストールすることができます。新しいツールやコンテンツが利用可能になったときにはユーザに通知が届くため、ユーザがどこでどのようなデバイスを使用していたとしても、生産性を維持しながら仕事をすることが可能です。
管理やサポートにかかるコスト
Macが実際は高いものではないことがすでにお分かりいただけたと思いますが、総所有コストに関する最後のトピックに入る前に、基本的なサービス、ハードウェア、ソフトウェア、管理ツールのコストに加えて必要となる、ユーザのサポートコストについて見ていきましょう。サポートスタッフやヘルプデスクにかかるリソースは各組織のニーズに応じて異なります。これまで長い間、確たる証拠はないものの、MacユーザはPCのユーザよりもサポートを必要としないとされてきました。この信念の核心に特定のコンポーネントや機能があるわけではないものの、PC MagazineのライターであるEdward Mendelson氏も挙げているように、Appleのユニークなユーザエクスペリエンスを可能にしている数々の機能は、使い勝手の良さ、シンプルさ、パフォーマンスの点で他のシステムより優れています。外観の良さだけでなく、機能性の面でもAppleが高い評価を受けている理由はここにあります。
20万台近いMacを自社で導入したIBMが最近、この主張を裏付ける確たるデータを示しています。IBMの調査によると、PCユーザによるサポートデスクへの問い合わせ件数はMacユーザの2倍だったことがわかりました。それだけでなく、Macユーザからの問い合わせのうち、実際に対面でのサポートが必要だった案件はたったの5%でした。PCユーザの場合、この数字はなんと27%でした。さらにIBMでは、20万台のWindowsデバイスの管理に必要なスタッフが20人であるのに対して、Macの管理者はほんの7人です。この数字は、大企業における大規模なMacの導入に関するものですが、この傾向はMacを導入する小規模な組織においてもみられます。
また、ZDNetのゲストエディターであるDavid Gerwitz, Sr氏も、自らが始めた小規模ビジネスでWindowsベースのコンピュータを採用したところ、ハイエンドマシンの場合は平均18ヶ月後、ローエンドマシンの場合は3~4年ごとに買い替える必要があったと述べています。その後、会社のコンピュータをAppleに変更し 、ハイパフォーマンスが求められる業務にはiMac、その他の業務にはMac miniを使うようになりました。彼は実際のコストの内訳や買い換え時期などについて詳しく説明していますが、まとめると、彼自身のiMacはメインデバイスとして5年(その後パワフルな第二のコンピュータとしてさらに3年)活躍し、Mac miniは高価なアップグレードやデバイスの大規模な修理なしに平均して8年以上活躍しました。もちろん、新しいアップデートのリリースに応じて新しいデバイスを購入する必要もありませんでした。
MacとPCの総保有コストに関する驚異的な調査結果のまとめ
Macはデバイス単体だとPCよりも高価であるものの、導入にあたっては初期費用以外にも考慮すべき要素が数多くあります。主要なサービスの多くがクラウドに移行し、複数のプラットフォームで使用可能になったおかげで、それらのコストはMacとPCでほとんど変わらなくなっています。
PCをしっかりと管理し安全に運用しようとすれば、組織は「安価」なPCのためにソフトウェアやツールを追加購入しなければなりません(Macの場合はすでにオペレーティングシステムに組み込まれています)。これに管理ツールやサポートのコストを追加すると、総所有コストの差はどのような規模の組織にとっても膨大なものになります。実際、IBMはPCの代わりにMacを導入することで273〜543ドルのコスト削減が実現したと述べています。
ここまで見てきて、組織で使用されるコンピュータに実際にかかるコストに関して、MacとPCのどちらが得かはもうお分かりですね?
Macを本格的に導入し、大きなコスト削減を実現しながら、定評あるAppleのユーザエクスペリエンスとパフォーマンスの両方をユーザに提供することに興味のある方は、ぜひ当社までお問い合わせください。
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