Macデバイスのセキュリティ監査に備えるには

Macデバイスをセキュアに保つうえで、セキュリティ監査は避けられない要素です。このブログでは、セキュリティ監査の準備に役立つ情報をご紹介します。

July 24 2025 投稿者

Hannah Hamilton

Illustration of an IT professional checking off a list of audit preparation tasks

気が進まない方もいるかもしれませんが、監査は企業のサイバーセキュリティ戦略に欠くことのできない要素です。 監査がなければ、自社環境の保護が十分で、サイバー攻撃への備えが万全であるかを確かめることはできません。何と言っても、攻撃者は絶えず手口を進化させているので、対抗し続けるには定期的な監査が重要なのです。監査には、次のようなメリットがあります。

  • 脆弱性を特定し、リスクを評価できる
  • 防御策や対応プロセスを見直せる
  • 社内外の基準や規制への準拠を維持できる

社内でどのようなデバイスやOSを使用していても、監査は実施する価値があります。 もちろん、Macデバイスも例外ではありません。このブログでは、Macデバイスに焦点を当てて、以下の点を解説します。

  • 企業においてMacデバイスの監査が重要である理由
  • セキュリティ監査への備え
  • 監査業務を効率化するソフトウェアツールとワークフロー

セキュリティ監査が重要である理由

データ侵害は、企業にとって多大な損失をもたらします。 IBMによると、世界の平均データ侵害コストは2024年に488万米ドルにものぼりました。これは、対応と復旧に要した費用だけの平均です。評判の低下やダウンタイムを加味すると、その被害額はさらに大きくなります。データ侵害が発生してから気づくまで、平均で258日もかかっています。

不意を突かれたと言うには長い日数です。ここに、監査が不可欠である理由があります。監査は、証拠収集や危機管理のためだけでなく、未発見のデータ侵害や攻撃者に侵入されるおそれのあるセキュリティホールのあぶり出しにも役立ちます。監査で得られた情報を活用することで、セキュリティ対策を継続的に改善し、潜在的なリスクを軽減できます。

データ侵害のリスク特定以外にも、多くの企業は業界ごとの規制やフレームワークへの準拠状況を確認するために、コンプライアンスに関する監査も受けています。コンプライアンス監査は、処罰を受ける事態を回避し、信頼を高めるのに役立ちます。

監査の準備

さて、まもなくMacデバイスのセキュリティ監査を控えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その準備が十分かどうか、確認する方法をご存じですか? 重要なのは、体系的に準備を進めることです。まずは、セキュリティのベースライン要件を定め、現在のセキュリティ体制を把握しましょう。その際、次のような点を考慮する必要があります。

  • 自社のベースライン要件はどんな内容か?
  • どのようなコンプライアンスフレームワークや業界基準への準拠が必要か?(例:PCI-DSS、SOC 2、ISO 27001)
  • 現在のセキュリティ、アクセス、使用に関するポリシーはどんなもので、どのように文書化されているか?

監査の範囲を把握する

受ける監査の種類に応じて、監査の対象範囲を線引きしましょう。例えば、コンプライアンス監査では、業界基準に基づいて管理項目が調査されるでしょう。社内ポリシー監査では、各種ポリシーと実施手順が対象となると考えられます。

データをできるかぎり収集しようとすると、貴重な時間とリソースを浪費してしまいます。そうではなく、関連性の高い情報に重点を置きましょう。そうすれば、監査の要求事項が明確になり、合格に必要な情報だけが得られるようデータ収集に優先順位を付けることができます。

データ収集を始める前に、次の問いを考えてみてください。

  • この監査の主たる目的は何か?
  • この監査にとって重要なシステムとデータはどれか?
  • どのコンプライアンスフレームワークや基準が適用されるか?
  • 主要な関係者は誰で、要求事項は何か?

これらの問いに対する回答に基づいて、個々のデータを収集するか否かを決定しましょう。データの例には次のようなものがあります。

  • デバイスインベントリ:Macハードウェアの種類とモデル、オペレーティングシステムのバージョン、管理状況
  • ユーザのアカウントと権限:アクセスレベルと標準のユーザ設定
  • ネットワーク構成:ファイアウォールの設定、ZTNAまたはVPNの構成、リモートアクセス制御
  • セキュリティ対策:FileVault暗号化の状況、Gatekeeperの設定、Mac内蔵のセキュリティ機能やその他のセキュリティ設定
  • アプリケーションとサービス:インストール済みのアプリ、必要なサービス、アップデートの適用状況

環境の準備を整える

技術的管理策

対象範囲が明確になったら、データ収集を始めましょう。手順としては、モバイルデバイス管理(MDM)ソリューションやセキュリティ情報イベント管理(SIEM)ソリューションからデータをエクスポートするのが一般的でしょう。これらに加えて、監視ツールの設定が必要になる場合もあります。

得られた情報を基に現在のシステムとセキュリティベースラインを比較し、差違があれば調整します。

文書化

上記の各種ソリューションで得られるデータ以外にも重要な情報はあります。運用手順もその1つです。セキュリティポリシーとその手順、管理記録、変更履歴、過去の監査結果といった関連情報を文書化しましょう。該当するなら、利用規約、インシデント対応計画、アクセス制御ポリシーなど、特定のポリシーや取り組みの概要を文書化することも検討しましょう。

監査準備の簡素化

監査の準備に役立つソフトウェアツールは多数あります。

モバイルデバイス管理ツールを使用すれば、デバイスのインベントリを作成し、デバイスの構成、インストール済みアプリ、ユーザアカウントなどについて豊富なデータを得ることができます。

SIEMやエンドポイント保護ソフトウェアはイベントログを収集でき、異常や潜在的な侵害の特定に役立ちます。

また、監査レポートとコンプライアンスプラットフォームを活用すれば、監査準備はさらにシンプルになります。例えば、macOSセキュリティコンプライアンスプロジェクトでは、「カスタマイズされたドキュメント、スクリプト(ログ記録と復旧)、構成プロファイル、および監査チェックリスト」を出力できます。これらがあれば、ベースラインの適用とデバイス状況の把握がはるかに容易になります。

ソフトウェア以外では、関係者が各自の役割を理解していると、監査の実施が非常に円滑になります。事前に各自の役割分担を明確にしておくことが有用です。具体的には、次の役割を明確化しておきます。

  • 監査の指揮や監査人との連絡
  • 技術的管理策の実施とデータの収集
  • 文書の収集または作成

他のプロジェクトと同じように、定期的に進捗確認を行い、全員で同じ認識を共有できているか確認することが重要です。監査の終了後は、再度集まって監査で見つかった内容に対応し、得られた教訓を次回の監査に活かしましょう。

まとめ

  • 監査を受けることで、自社の脆弱性や潜在的なデータ侵害を特定できる
  • 自社のMacデバイスをセキュアに保つには、定期的な監査が不可欠
  • 監査の準備には、ツールのデータ収集とドキュメントの作成が必要
  • MDMなどのツールを使うことで、監査の準備を簡素化できる

監査は決して怖いものではありません。

Jamf for Mac なら、コンプライアンスベースラインレポート、監査ログなどの機能で対応を簡素化できます。