AI アシスタントに、時間削減に役立つ2つの管理機能が追加
Jamf AI アシスタントに、データアクセスを迅速化する検索スキルと、複雑な構成を把握しやすくする説明スキルが追加されました。IT担当者はこれらのスキルを活用し、手作業を減らして意思決定を改善できます。
今年初め、Jamfは、生産性向上と意思決定の強化に役立つアクション指向型アシスタントのAI アシスタントをリリースしました。リリース以来、最初の機能であるリファレンススキルについて、作業時間を大幅に削減できたという声を複数のお客様からいただいています。このスキルは管理者向けの機能であり、マニュアルやサポート記事を調べることなく、Jamf製品に関する疑問を直ちに解決できます。
この度、AI アシスタントにIT部門向けの新機能として、Appleデバイスの運用を大幅に簡略化する説明スキルと検索スキルが追加されました。
検索スキル:社内データに即座にアクセス
想像してみてください。CISOに突然、「ヨーロッパ各地のオフィスで運用しているデバイスのうち、ブラウザが古いものは何台ある?」と聞かれたら、どうしますか。AIのない時代であれば、詳細検索を作成することになるでしょう。検索条件としてChromeやFirefox、Safari、Edgeを指定し、各ブラウザの最新バージョンをインターネットで調べ、「より小さい」演算子を設定し、場所フィルターを追加して、うまく動作するかテストし、問題があればデバッグします(検索条件を「Chrome」ではなく「Google Chrome.app」としていた場合など)。「AND」演算子や「OR」演算子に手こずらなければ、20分くらいでCISOの質問に回答できるでしょう。しかし、場合によっては、休憩時間を削って作業しないといけないかもしれません。
一方、AI アシスタントがあれば、CISOの質問をそのまま入力するだけです。数秒後には、国やブラウザーのバージョンごとの詳細な内訳も含めた結果が表示されます。
しかも、それだけではありません。普段の会話と同じように、関連する質問を続けて投げかけることもできます。たとえば、「そのデバイスのうち、経営陣が所有するものは何台?」と聞くと、すぐにAIが答えを返してくれます。また、「それらの古いデバイスに共通してインストールされているアプリは?」のように聞けば、手作業では気づけなかったパターンをAIの力で見つけ出せます。
先日のJamf Nation Liveで、あるお客様が「FileVaultが無効なMacを見つけて」と伝えるだけでよいので、検索条件を使うよりもずっとシンプルに作業が進められます」とコメントされていました。
検索スキルでできることは、以下のとおりです。
- 会話形式でデータにアクセス:必要な作業は、AIに質問をして回答を見ることだけです。クエリ言語を覚える必要も、正規表現で困ることもありません。
- 広範囲のパターンを検出:AIが膨大な数のデバイス間の相関関係を即座に見つけ出します。
- コンプライアンスに関する質問にリアルタイムで回答:悪夢のような監査にも、自信を持って対応できます。
- Excelが不要:Jamf Proから別アプリに切り替えることなく、プレゼン形式に適した情報を準備できます。
説明スキル:不明なポリシーを解き明かす
Jamf製品をお使いの管理者であれば、問題のトラブルシューティング中に「Q3_Temp_Fix_DONT_TOUCH」のようなポリシーを目にして、気落ちした経験があることでしょう。ポリシーの作成者は2年も前に退職し、ドキュメントはなく、対象デバイスは500台にも及んでいます。このポリシーは無効化しても平気でしょうか?
説明スキルは、このような過去のものを調査するうえで役立つ機能です。よくわからないポリシーをAI アシスタントに伝えると、AIが関連するスクリプトやスマートグループ、拡張属性をさかのぼってそのポリシーを解析し、意図を特定します。特に重要なのは、ポリシーを変更した場合の影響を知ることができる点です。
しかし、このスキルは単なるトラブルシューティング機能ではありません。AIに「API認証スクリプトを使っているポリシーを調べて」と指示すると、このスクリプトに依存するすべてのポリシーを特定できます。これにより、認証情報がハードコーディングされた旧バージョンのスクリプトを3つのポリシーが呼び出しているなど、さまざまな問題を見つけ出すことも可能です。説明スキルが役立つ用途には、次のようなものがあります。
- 前任者から引き継いだ環境の調査:何年分もの構成を数分で把握できます。
- 導入前の健全性チェック:問題がデバイスで発覚する前に検出できます。
- ドキュメントの自動作成:実態に即したWikiを生成できます。
- 知識の保存:各従業員の知識を退職前に収集できます。
「当社の運用環境はタイムカプセルのようになっているので、自社の古いポリシーをAIが解明してくれるというアイデアは素晴らしいものでした」(Jamfコミュニティメンバーの評価)
JamfのAI アシスタントは「AIのためのAI」ではありません。お客様のアクセス許可に従い、(現状は)読み取りしか行わず、オプトインなしではアクティベートされません。Jamfの語彙を理解し、一般的なパターンを認識するだけでなく、追加の情報を取得すべきタイミングさえもAIが判断します。たとえば、AI アシスタントはポリシーに関する質問を受けると、自動的に関連するスクリプトを調査します。また、デバイスに古いバージョンのアプリがインストールされているか聞かれると、パッチフィードからリアルタイムにバージョンデータを取得し、比較を行います。
そのため、お客様はメニューを何回もクリックする時間を減らし、問題解決にかける時間を増やすことができます。スプレッドシートでの作業にかけていた時間を戦略的な活動に充て、迅速に過去の資産を紐解いて未来の創造に注力できます。
ベータ版のご案内
現在、これらの2スキルは、Jamf Pro 11.17以降でテスト用のベータ版として提供されています。上部ナビゲーションバーにAI アシスタントボタンが新しく追加されており、これをクリックするとJamf Accountに移動し、新スキルにオプトインできます。Jamf SSOが有効化されていない場合は、まずこの機能を有効化するように求められます。
AI アシスタントに関する法的なよくある質問
AI アシスタントはJamf Pro内で変更を加えますか?
いいえ。現状、AI アシスタントは読み取りしか行いません。今後、セキュリティ対策を実装した書き込み機能がオプトイン形式で提供される予定です。
セキュリティ対策はどうなっていますか?
以下のような、多層防御戦略を展開しています:
- 各組織専用の認証
- データの分離
- 通信およびストレージの暗号化
- AIのアクティベーションとスキルの使用をすべて記録する監査証跡
- 堅牢なデータ保持ポリシー
データの処理と保存はどこで行われますか?
データはすべて、Amazon Bedrockにより暗号化された状態でAWS内に安全に保存されます。データがAWSエコシステム外に出ることはなく、AIのトレーニングに使用されることもありません。お客様の質問(入力)とAI アシスタントの回答(出力)のログは、Jamfが30日間にわたり保持します。
説明スキルと検索スキルを使用した場合、お客様のクエリによっては、30日間にわたり一部の構成データとインベントリデータが保存されます。たとえば、お客様のクエリが「Chromeをインストール済みのユーザは?」である場合、AI アシスタントはインベントリレコードを取得して該当のユーザを特定します。これらのレコードがログに直接保持されることはありませんが、ログから得られた情報がログ内の回答に含まれる可能性があります。
AI アシスタントはデフォルトで有効化されますか?
いいえ。AI アシスタントはデフォルトで無効化されています。AI アシスタントを利用する場合は、管理者が明示的にオプトインする必要があります。また、AI機能はすべて、個別に有効と無効を切り替えられます(例:ドキュメントに基づくRAG(検索拡張生成)や、Jamf Pro内の読み取り検索など)。
データはどこでホストされますか?
現在、AI アシスタントのデータは、米国内のデータセンターに保存されています。今後、EUデータセンターなどの他地域にも対応予定です。
詳細については、AI Addendum(英語)をご覧ください。
Jamf Pro 11.17で新しいAIスキルをお試しください(ベータ版)