WindowsベースのシステムにmacOSを統合するうえでの課題とは
MacとWindowsを統合すると、生産性の飛躍的向上、セキュリティ強化、IT管理の効率化、柔軟性や一貫性が高まることによる関係者の利便性向上など、様々な効果が期待できます。
はじめに
所属する組織の2025年の様子を思い出してみてください。
Windowsが主流の環境ではあるものの、デバイスの従業員選択制やBYODの導入により、Macの採用が進みました。Macが選ばれた理由としては、以下のようなものが考えられます。
- 好みと慣れ
- セキュリティとプライバシー
- 信頼性と生産性
経営層も、Macに対する需要の高まりを受けて、Mac導入がビジネス運営にもたらす確かなメリットを無視できなくなりました。具体的には、以下のようなメリットです。
- ROIの最大化
- TCOの低下
- 生産性の向上
そこで、ITディレクターは、macOSとWindowsの全社的な統合に向けて、担当者に統合計画の立案を依頼しました。課せられた条件は、統合がビジネス目標の達成に寄与すること、そして、以下の点を盛り込むことです。
- 多くのエンタープライズが直面する課題
- 統合の成功に向けた主な戦略
- MacとWindowsの統合の利点
多くのエンタープライズが直面する課題
IT部門によるサポートが1つのプラットフォームとどまる場合にハイブリッドIT環境の構成をどうするかは、ビジネス運営に影響を与える重要な要素です。デバイスやOSの種類が増えるほど、考慮が必要な変数が増えていき、影響の大きさが読みづらくなることにもなりかねません。
デバイスの管理とセキュリティ確保に関して、組織が既にMicrosoft製品を前提としたツールを採用している可能性も大いに考えられます。その最大の利点は、Windowsデバイスをネイティブサポートしている点にあります。しかし、MacとWindowsの統合の成否に影響を及ぼす問題の多くは、Macの管理やセキュリティ確保にMacネイティブのソリューションを使用していないことが原因で発生しています。この点は、組織がこれからオフィス用にiMacを調達するのか、それともリモート勤務の従業員に個人所有のMacBook Proの業務利用を許可するのかを問わず変わりません。
ここからは、Windowsが中心の環境にmacOSを統合する際に多くのエンタープライズが直面する課題を5つ取り上げます。ただし、以下の項目はすべてを網羅したものではありませんのでご注意ください。組織は一つひとつ違うため、そのニーズも会社の基準や業界・地域の規制に応じて変化します。組織のニーズによっては、一部の課題が他よりも優先度が高いこともあると思われます。以下は、そのような前提でお読みください。
1. 管理プロセスを標準化する
新しい機器の初期設定を効率的に進められる状態でなかったり、デバイスの設定やアプリの導入を一律に実施できていなかったりすると、関係者のユーザ体験に不整合が発生する原因になります。また、何百、何千台のMacを手作業で管理していては、IT部門がMacのパフォーマンスを維持するのが難しくなる、従業員の生産性が低下する、トラブルシューティングに支障を来たすなど、デバイスのライフサイクルのあらゆる側面に悪影響が及びます。
2. どのプラットフォームにも同等のセキュリティを確保する
リスクは、危険なものにほかなりません。問題が発生した場合には、状況がさらに悪化する前に対処することがきわめて重要です。しかし、組織のデバイスやセキュリティを一元管理できるソリューションがなく、IT部門もセキュリティ部門もWindowsに対する可視性しか確保できていない状態では、macOSの状況がわからず、組織データに対する脅威の防止もコンプライアンス確保も、Windowsプラットフォームにしか達成できない事態も起こりかねません。組織に強固なセキュリティ状態を確保するためには、WindowsデバイスだけでなくMacについても脆弱性を緩和し、最新の状態に維持していくことが重要です。
3. ソフトウェアやサービスの互換性の問題に対処する
Windows用に最適化されたエンタープライズツールや旧式のアプリケーションは、macOSをネイティブサポートしていないことが少なくありません。その状態でmacOSを導入しても、既存の業務フローは使えません。そのため、面倒な例外的手順を使わざるを得なくなったり、サードパーティツールに対する依存が強まったりして、プラットフォーム間の格差が広がっていきます。そして最終的には、業務が複雑化して作業効率が低下し、管理、セキュリティ、拡張性、ユーザ体験のすべてが犠牲になるのです。
4. 組織のニーズに応じた拡張性を確保する
macOSをネイティブサポートしている管理基盤がなければ、WindowsデバイスとmacOSデバイスを並行して維持管理していくことは困難です。Macが増えていくにつれて、IT部門の対応能力が会社の成長速度に追いつかなくなっていくからです。また、IT部門が会社のニーズに対応できない状態が続けば、生産性の低下やビジネスチャンスの逸失にもつながっていきます。
5. ユーザエクスペリエンスを落とさずに業務フローを調整する
ITは、究極的には効率化のためのものです。問題解決、デバイスの更新、セキュリティインシデントへの対応に費やす時間が増えるほど、ユーザ体験の最適化や、新たな業務フローの検討・考案に使える時間が減り、リソース消費を最小限に抑えつつ、各地に分散した従業員が円滑に連携していくための柔軟性の確保が難しくなっていきます。かつて機能していたプロセスが機能しなくなれば、従業員満足度が徐々に削られ、不満ばかりが募っていくことにもなりかねません。
統合の成功に向けた主な戦略
組織が一つひとつ異なるように、組織のニーズも、会社の基準や、業界・地域の規制や要件によって異なります。しかし、そのようにニーズがバラバラであるからこそ、管理やセキュリティにベストプラクティスを取り入れ、サポートされているプラットフォームの管理・セキュリティの格差を最小限に抑えることが重要になります。つまり、macOSデバイスとWindowsデバイスの両方に同じ保護措置を用意して、どちらも等しくビジネス目標の達成に寄与できる状態を確保することが重要です。
IT部門がこの目標を達成するためには、MacとWindowsがどのような点で似ており、どのような点で違っているかをしっかり把握しておく必要があります。両者の違いを把握できていれば、それぞれのプラットフォームに十分に対応したツールがわかるようになるため、「丸い穴に四角い杭を打つ」ような事態を回避することが可能になります。また、両者の共通項がわかっていれば、インフラ全体の総体としてのリスクを最小限に抑えた安全なプロセスと作業フローが実現するため、コンプライアンスの維持に役立ちます。加えて、両者の共通項を把握することは、プラットフォーム、デバイスの種類、所有形態を問わず関係者の生産性を最適化することにもつながります。
macOSをネイティブサポートしたモバイルデバイス管理を導入する
「すべてを単一の画面で管理する」という考えは、理論上はすばらしいのですが、現実には新機能のサポートが遅れることも少なくありません(サポートがまったく実装されないこともあります)。その点、macOSの機能を隅々までサポートする仕組みが組み込まれたMDMソリューションなら、Macの可能性を100%引き出しながら導入・管理することが可能になります。業務に適したツールを選ぶことができれば、管理の格差が解消するだけでなく、エンタープライズの成長に向けた強固な基盤にもなります。
インフラ全体でセキュリティプロトコルを標準化する
セキュリティとは、包括的な取り組みです。Macだけ、Windowsだけの問題ではありません。デバイスレベルのエンドポイントセキュリティは欠かせませんが、それは多層防御計画の要素の1つにすぎないのです。NISTなどのフレームワークに基づいてベースラインを策定するとともに、CISのようなベンチマークを取り入れれば、デバイスだけでなく、組織のセキュリティ状態全体にわたるコンプライアンスの評価と維持が可能になります。
クロスプラットフォームのソフトウェアで互換性を最大化する
できるところからクロスプラットフォームのソフトウェアにアップグレードする試みを続けていけば、統合を通じて互換性確保のための業務を効率化できます。マルチプラットフォーム対応のツールにより長期的な利便性が高まるのはもちろんのこと、標準化による効率アップ効果も見込めます。また、社内開発のソフトウェアなどのオンプレミスサービスをクラウドに移行し、ユーザがデバイスを問わずSaaSアプリにアクセスできるようになれば、複雑さも軽減されます。
既存のプロセスの質を高め、新たに効率的な業務フローを確立する
ITは、究極的には効率化のためのものです。そして、関係者のユーザ体験の改善にテクノロジーを役立てる効率的な業務フローを確立するうえで鍵となる要素が、イノベーションです。管理、アイデンティティ、セキュリティの各種プロセスを自動化すると、日々繰り返し発生する作業に費やす時間が減り、IT部門の時間に余裕が生まれます。IT部門の時間に余裕ができれば、生産性向上や業務効率化など、ビジネス目標の達成に寄与する業務フローの立案に集中して取り組むことも可能になります。
トレーニングや知識の共有により関係者を支援する
MacとWindowsを統合するということは、単に2つのプラットフォームをつなげるだけにとどまりません。もっと深いレベルの一体化を目指す行為です。例えば、IT部門とセキュリティ部門が密に連携して問題の対応に取り組み、脅威が深刻な問題に発展する前に発見・緩和していけるようにすることも、統合の取り組みの一つです。また、知識の共有、スキルアップ、セキュリティ意識向上などを目的としたトレーニングも重要です。いずれも、関係者の自信を育むとともに、従業員満足度が高まるため、ハイブリッドエコシステムの関係者の団結を強化することにつながります。
なお、ここまでに挙げた項目はすべてを網羅したものではありませんのでご注意ください。もっとも、MacとWindowsの統合の成功事例のほとんどに見られた戦略ではありますので、その点はご安心ください。また、項目を取り上げた順番には特に意味はありません。そのため、組織ごとのニーズに応じて、特定の項目に優先的に取り組むことはまったく問題ありません。
MacとWindowsのハイブリッドIT環境の利点
ここまで、macOSとWindowsを統合するうえでの課題と戦略を紹介してきました。ここからのテーマである組織やIT部門、従業員にとっての利点については、既に多少話が出てきましたが、
以下ではそれをもう少し詳しく見ていきましょう。具体的には、macOSとWindowsの統合が重要な理由に加え、以下に示した利点が単にmacOSとWindowsの両方を使えるという話の枠組みを越え、管理やセキュリティに関して業務運営やそれに従事する関係者を支える包括的な戦略の1つとして、企業を成功に導いてくれるものであるという点を見ていきたいと思います。
従業員
- ユーザの好みに対応:従業員が自らの好みや生産性の発揮の仕方に合わせて最善のプラットフォームを選択できるため、効率が高まります。
- 仕事に対する満足度の向上:新しいシステムを学んだり、ソフトウェアの互換性の問題に悪戦苦闘したりする時間を減らせるので、生産性や成果物の質向上の効果が期待できます。
- 多様な働き方に対応:プラットフォームに縛られない均一なコミュニケーションと共同作業が可能になり、様々な役割や使用例を等しくサポートできるようになります。
- 柔軟性の向上:安全なファイル共有、通信ツール、クラウドサービスがプラットフォームの垣根を越えてシームレスに機能するので、スムーズなユーザ体験が実現します。
- ユーザ体験の統一:サポートツールや業務フローが統一されるため、従業員に対してこれまでよりも迅速かつ一貫したサポートを提供できます。
IT部門とセキュリティ部門
- 管理の効率化:パッチ管理が一元化し、シャドーITが減少します。また、ネイティブ管理機能を活用して一貫したサポートを提供することも可能になります。
- サポートリクエストの減少:脅威検出の自動化とインシデント対応の迅速化により、脅威の特定と修復のスピードがアップします。
- セキュリティ状態の強化:セキュリティポリシーと監視を全デバイスに一貫して適用できるため、セキュリティギャップが縮小し、リスクも最小限に抑えられます。
- イノベーションの促進/アジリティの向上:サポート担当者が業界最高レベルのソフトウェア、クラウドサービス、業務フローを簡単に導入できます。
- 大規模な自動化:大量のデバイスに各種の自動化ツール(スクリプト、構成、ポリシーなど)を適用し、IT部門の手作業の負担を軽減します。
エンタープライズ
- 生産性の向上:従業員が最も快適なシステムを選んで利用できるので、各人の効率や当事者意識が高まり、成果物の質向上につながります。また、トレーニングにかかる時間の節約も期待できます。
- サポートコストの低下:2つのプラットフォームを単一の戦略で管理することになるため、プロセスの統合と複雑さの軽減が進み、運用コストが低下します。
- コンプライアンス業務の効率化:コンプライアンス管理の標準化により、規制要件の遵守や、監査におけるコンプライアンス証明が簡単になります。
- 事業継続性の向上:どこにいても、さらには停電や障害の発生時、移動中、サプライチェーンの混乱中など、どんなときでも生産性を維持できます。
- 役割に応じた多種多様なサポート:画一的なツールを押しつけることなく、あらゆる部門や関係者の個別のニーズに対応します。
まとめ
エンタープライズでmacOSとWindowsを統合することは、もはや贅沢でも何でもありません。むしろ、戦略的に必要な活動であると考えるべきです。従業員のニーズが高度化し、ビジネス運営にこれまでよりも大きな柔軟性が求められる現在、統合を成功させることには確かなメリットがあります。
MacとWindowsの統合をめぐる課題の克服に、Jamfの柔軟で強力なソリューションをお役立てください。